はじめに
バイクは車とは比較にならないくらい軽い。すべての部品はむきだしの状態であり、バイクはメンテナンスしやすい乗り物であるといえる。昨今のDIYブームでこれまでのショップにおける車検からユーザー車検に切り替えるライダーが増えたことは承知の事実である。ユーザー車検は安く上がるが、ショップでのきめ細かい検査ができないため敬遠するライダーが多いこともまた事実である。しかし、これから紹介するが、細かな調整は車検では必要がない。調整は車検という名目ではなく、日常に行えばよい。その方が車検にあわせて行うより、絶対安上がりなはずである。工具名称 | コメント |
ユーザーマニュアル |
DIYでやるなら、取扱説明書とこれは必須。今ならオークションやSEED DIRECTなどで簡単に入手できる。値段は新品なら5000円位。逆車の場合は英語版が主流だが、日本語訳バージョンもオークションでは出ているようなのでチェックしておきたい。 |
トルクレンチ |
タイヤ、ブレーキなどの保安部品はマニュアルの締め付けトルク通りでボルトは締めたい。サービスマニュアルを見ればわかるがボルトは何でも一杯に締めればよいという訳ではない。足回りや、フレーム、エンジンは触らない人なら50N.mまでのものを用意したい。(ブレーキでも34N-mが最高) すべて自分でやる人は150N-mのものがほしい。(フロント、リアシャフトのナットの締付けトルクが最高で134N-m)ただしむちゃくちゃ値段(約2万円)は高いが。トルクレンチのブランド東日製作所のページはこちら |
六角レンチ |
もっとも良く使う工具だろう。2〜12位あればバイクに使うほとんどのボルトは締め付けられるはず。レンチのサイズは下の図でBのサイズのことを言う。安いのは使うな!すぐに六角穴をなめてしまうぞ |
ラチェット |
全長150mmくらいの小さいのが便利。これも安物を買うと「カチッカチッ」の間で動く精度が全然悪くなるので1本5000円くらいのものを準備しよう。ちょっと高いがKTCのものがお薦め。やりやすさが全然違います。 KTCのホームページはこちら |
ソケット(各種) |
サイズは6〜19位までそろえましょう。一番大きな19はオイル交換用のドレンボルトの六角ボルトレンチサイズ用です。 |
めがねレンチ |
車載工具で付属されている工具類が品質が悪いものが多く、スパナであることが多い。これらはすぐにめがねレンチに買い替えよう。 スパナがボルト・ナットを2点で捉えるのに対し、めがねレンチは6点で捉えることができる。しかも、リング状になっている為、頭部がボルト・ナットから外れにくく、均等に荷重を掛ける事が出来る為、スパナより大きな力が掛けられるようになっているからである。六角部がなめてからでは遅いのです。何度もこれで泣かされた経験があるからこそ、買い替えをお薦めします。 サイズは6〜22位、あとチェーン調整、タイヤ交換でアクスルシャフトナットをはずす人はそのナットサイズのめがねレンチを購入しよう。 |
モンキーレンチ |
主に、ボルトとナットで挟み込んでいる用な部品を取り外す際の受け用工具として使用します。サイズが調整できるからといって、部品取り外し、取り付け用の工具としては使用しないように。 |
プラスマイナスドライバー | いいものを買いましょう。(せめてKTC製)なめた経験は皆さんお持ちでしょ! |
懐中電灯 | あると、ないとでは作業性が全然違います。 |
バイクリフト |
ZX-9Rはセンタースタンドがついていないので購入しました。オークションで8000円くらいで入手できるはずです。Vフック付きを購入しましょう。 |
フロントフォーク |
オイルを交換する必要があるが2万キロ毎でよい。変えると確かにそれまでブレーキをかけたときに「ズッズッズッ」と沈んでいたのが「スー」と沈むようになった。ただ、1万キロ程度で変えてもあまり意味がないと思う。雑誌等では7〜8千キロでオイルは汚れるとあるが、汚れるから沈みが悪くなるのではなく、オイルが経年劣化するから悪くなるのであってそれほど神経質に交換しなくてもよい。フォークオイル交換は他のオイル交換と違って作業が複雑なのでショップに頼んだ方が良いだろう。 |
ブレーキオイル |
2年間交換していないのなら、交換すること。ブレーキオイルは透明なので色がついていればすぐわかる。 さっきのフォークオイルと違って手軽にできるのでぜひやってみよう。 オイル以外に必要なチューブはホームセンターで売っている。 ブレーキのドレンキャップをはずし、径を測ってからチューブは買おう。 |
ブレーキパッド |
パッドの残量チェックはもちろんだが、日ごろやらないブレーキ周りの掃除のために一度キャリパーを外し掃除しよう。キャリパー毎中性洗剤と歯ブラシでごしごしやればきれいになる。簡単だからやってみて (1)キャリパーを外しボルト(B),スプリングパッド(A)をはずす (2)クリップ(C)を抜き,ピン(D)を抜く。これだけでパッドが取り外せる。 (3)キャリパーごと水洗いすればよい。洗剤は普通のカーシャンプーでOK。ポッド数が多い場合ピストンはいつも同じ順番でしか出てこないので19mm程度のソケットをかませて他のピストンが出てくるようにしてすべてのピストンを洗う。 この時先に外した(A)〜(D)もきれいに洗っておこう。取り付けは先の逆。キャリパー本体の締付けトルクはZX-9R E2 の場合34N-m マニュアル通りにきちんとトルクレンチで締付けよう。 |
オイル交換 | 車検にあわせる必要もないが、きれいさっぱり交換しておこう。車検で金が浮くからオイルはいいやつを入れるよう心がけている。(私はmotul 300V) |
プラグの焼けのチェック | 9Rはタンクを外さないとプラグがチェックできない。ただタンクはガソリンさえ入っていなければ取り外しは簡単なのでたまにチェックしている。大排気量車で街乗りが多い人ほどプラグにすすがつきやすいような気がする。だって4000rpm以上回すことがないから・・・ |
チェーンの掃除 | 私はチェーンクリーナーは使わず、灯油でやっている。これでも結構汚れは取れる。チェーンはすぐさびるので車検にかかわらず1000km程度走れば、清掃するよう心がけている。歯ブラシを必ず使ってやること。 |
灯火類のチェック | ウインカー、リアブレーキがちゃんと作動しているかチェックする。わたしの場合、ライトスイッチを切れなくするためにスイッチボックスを取り外したが、この時フロントブレーキグリップそばにあるブレーキランプ用コネクターが外れていることに気が付かなかった。おかけで当日検査で不合格になってしまった。すぐに復旧し、再検を受け合格したので良かったが。 |
【事前に自分で準備するもの】 @車検証 A軽自動車納税証明書 B自賠責保険証 C定期点検記録簿(事前にショップのもので実施) 【当日手に入れればよいもの】 @継続審査申請書 A自動車重量税納付書 B自動車検査票 C定期点検記録簿(車検場売ってるもの) 【その他】 Cはんこ Dボールペン、鉛筆、消しゴム E工具 |
車検場に行く前にテスター屋さんに光軸調整に行っておこう。 これをやらない人もいるが1000円程度だし、不合格になってまたやり直した場合にかかる時間を考えれば安いものである。車検開始時刻の30分くらい前に行っておくのがベスト。テスター屋は必ず車検場近くにあるはずです。 |
車検場についたらすぐに下記3点についてチェックすること。
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書類がすべてそろったら受け付けのある本部に行く。ここには先に購入した書類の書き方が掲示されているのでそれにしたがって記入していく。 車台番号は国内仕様ならそのまま記入すればよいが、逆車はそのまま枠に収まらない。そのときは受付の人(大阪はお姉さん)に書いてもらう。 書類の記入が終わったら、受付に行き電話予約でメモした予約番号を言う。 「ユーザー車検」と告げれば、たいてい次に何をしたらよいかを教えてくれる。 すべての書類のチェックが終われば「検査を受けてください」といわれるのでそのままバイクを検査ラインに進ませる。 |
同一性の確認 | 車検証に書いてある事項とバイク本体が同じものかを確認すること。フレームナンバー、エンジンナンバー、寸法などだ。寸法については過去5回受けているが一度も無かった。 |
外観検査 | ハンマーでボルトが緩んでいないかをチェックしていく。チェック箇所はステップ、マフラー、シャフト、ブレーキ部分など。チェーンの緩みはチェックされるので注意!ここで電気系統のチェックも行う。ライト、ウインカー、ブレーキランプ、ホーンなどのチェックだ。9Rにはライトスイッチが付いているが、今回の検査ではチェックしていなかったようだ。 |
ブレーキのチェック | 外観検査が終われば、バイクにまたがってエンジンをかけての検査になる。ここからは前方の「電光掲示板」の指示に従って検査を受けていく。足元にある『フットスイッチ』を踏めば検査がスタートする。ブレーキテストの時はブレーキをかける時にテスターのコロに持っていかれそうになるので、しっかりバイクをホールドし転倒しないよう注意する。 |
スピードのチェック | これも足元の「フットスイッチ」で行う。電光掲示板に「フットスイッチを踏む」とでたらスイッチを踏む。すると徐々にテスターのコロによってタイヤが回転を始める。「40km/h」になったら「フットスイッチをはなす」合格なら「○」と表示される。これも楽勝だ。 |
光軸検査 | 9Rのような2灯ライトの場合検査は1灯ずつ行うので、本にはカバーが必要となっているが、今回は「カバーなくてもいいよ。こっちでうまいことやるから」といってくれて、特に何もすることはなかった。光軸検査はハイビームのみ行われる。何事も問題なく、掲示板には「○」のマーク。これで車検は終了だ |
ヘッドライトスイッチ |
9R場合、マレーシア、アメリカ、カナダ、オーストラリア仕様以外の場合はライトスイッチがついているが、日本国内では2輪は常時点灯が義務つけられており、スイッチが切れない機構にする必要がある。私の場合はライトスイッチボックスにナットをかませ動かないようにした。ただ、当日の車検では特にチェックする様子もなかった。もちろん車検後はナットはすぐに取り除いたが・・・ |
レンズカット |
レンズカットが右側通行用の場合はテスター屋に行き、そのまま光軸調整で通るかどうか試してほしい。 |
マフラー |
9Rの場合E型から「KLEEN」というキャタライザー(触媒)が搭載されている。車検前に「ガス検査はあるのですか?」と尋ねたところ、「車検証の型式の欄に何か書いてある?」と聞かれ「ZX900E」ですと答えたら、「じゃあガス検査は無いです」といわれた。多分型式の欄は記入されていればガス検査は無いのだと思う。また、特にマフラーは交換されていても検査は無いみたいだ。 |
マニュアルを見なかったため犯したミス |
今回一番苦労したのは実は光軸だった。9Rを購入当初バラシ方を練習でカウルをはずしていたのだが、はずし方がわからず、矢印のボルトを回してしまった。実はこのボルトランプの向きを調整するボルトで回し方次第で焦点がずれてしまう。今回これを回してしまっていたため、テスター屋で大幅に時間がかかってしまった。テスターの方ごめんなさい。マニュアルでカウルのはずし方をきちんと理解せずにやったためのミスと反省している。 |